弁天地藏
天理の
昔、子どもがこの地蔵の前で小さな
「私の顔はこんなに美しいのやろか?」と、うれしくなって地蔵さんに聞いてみました。
地蔵さんは「あなたは今、鏡を洗ったでしょう。だからきれいに映ったのですよ。」とおっしゃいました。
子どもは地蔵さんがしゃべったのでびっくりしましたが、喜んで、地蔵さんのお顔を映したり、自分の顔を映したりして遊びました。
しばらくして、子どもの母親が呼びにきました。母親は、子どもが地蔵さんに悪いことをしていると思い、「こんな所で遊んだりしたらあかん。お地蔵さんが怒らはるで。早う、その鏡をそこに返しとき。」と言って、連れて帰りました。
家へ帰った子どもは、あの美しい鏡のことを思い出すと、
心配した母親は、地蔵さんのところでいたずらをしたバチがあたったのだと思い、お地蔵さんにお詫びのお参りをしました。
すると、その夜、母親の
母親はびっくりして、子どもを連れて地蔵さんの所へ行きましたが、鏡はもうありませんでした。でも子どもはすっかり元気になり、毎日、地蔵さんと遊びました。
それから、地蔵さんの前の小川で手を洗うと手がきれいになり、顔を洗うと顔がきれいになると、村人は語り合い、この地蔵さんを「弁天地蔵さん」と呼び、いっそう親しく思うようになりました。
こうして弁天地蔵さんは、村人と仲良くしながら、村人を見守っていてくれているということです。