2021

令和3年開催


全体講評

今回も立派な作品がいっぱい揃い、嬉しい審査会となりました。

色の濃淡やバラエティーがあり、鮮やかなもの、暗いもの明るいもの、深いもの浅いもの、いろいろ取り混ぜて、その中のバランスがおもしろい、非常に楽しい内容が揃ったコンクールになりました。

特に、雪の写真や凍りついた季節感があるもの、花の盛りのもの、秋の色の深いもの、それから人物。

大和神社の写真にしても、この季節でありながら人物がいきいきと表現されています。そして、石上神宮の鶏の写真。これは前回もありましたが、非常におもしろい構図となっていて、これだけで集めたら、結構、おもしろいものがいろいろできるじゃないかなとも思いました。おもしろいモチーフ、それも鶏をモチーフにしながら、鳥ではなく本当に人間3人が集まったかのような、そういうおもしろい取り合わせのものを見せてもらい、心豊かにさせてもらえるいいコンクールになったと思います。

【特別賞】

天理市観光協会会長賞『新春を射る』宝本さち子氏

弓を引いているところですが、大和神社の境内の雰囲気も取り入れながら、少し左の方に建物の屋根を入れたり、また、多くの観客が集まっていて、その真ん中に弓を射る人達が5人いる。それが集中力をもって一つの目的に矢を射ようとしている緊張感が画面の中から非常に伝わってきます。

5本立っている弓。その弓が画面全体に一つの大きなリズムを作っていて、そのリズムのある集中した先に、赤い衣装をつけた神官の女性が座っている。この構造の中にある集中力と全体、空間を取り入れた世界観がうまく表現されています。

【特選】

『木漏れ日の中』上島春雄氏

 夜都伎神社ですが、明暗、シャドー部が入れられていて、非常にグラデーションが綺麗によく出ています。

右の方から来ている光、紅葉を透かして通ってくるその光の透明感、輝き、地面、木のタッチ、それにグラデーション、それらを非常によく出している素晴らしい仕上がりの作品です。

空の部分ですが、どちらかというとカットして、地面の土の太い木の根っこの辺りを大きく出した方が、地面に根をおいた伝統の歴史的な建造物という深みがより出せると思います。少し下向けた方が良かったのではないでしょうか。

【特選】

『三つの視線』竹本晴行氏

石上神宮の鶏ですが、3匹、一つずつ見ていると誰かの顔に似てるという顔が並んでいて、一つの画面づくり、非常に思い切ったレイアウトというか三角形に並んで一つの固まりとなり、この固まり自体が自然にファミリーを成している、その構図づくりが素晴らしいと思います。

手前にある欄干の石の杭でしょうか、ちょっと残念に見えてしまいます。その辺りをもう少し工夫され、後ろの苔むした神宮の境内がもう少し出てきたらいいですね。そして、少しコントラストが強すぎ、それがためにリアル感を失くしてしまいます。目には飛び込んできますが、リアル感を失くしてしまうと見た時の親近感が作られたもの的に見えてしまうのが惜しいところです。

【準特選】

『夕日の御陵櫻』小松原一雄氏

二上山バックに、逆光に照らされている桜。雰囲気があっていい作品です。

惜しいのが、ビニールハウスの骨がチラッと見えているところです。可能であれば、上下して、桜の花の陰に入れていただいた方が良かったかと思います。

二上山の形がほんのりと見えていて雰囲気があります。

【準特選】

『極寒の祈』森下賢治氏

冬の桃の尾の滝ですが、ツララがあって凍っているところもあり、流れているところもある。流れている滝のところは、スローシャッターで流しています。

流れ、動きもあって、すごくいい雰囲気です。左の上の方まで凍っているところも氷の冷たさがよく出ています。動いているところと止まっているところが画面の中にあるのが変化があっていいと思います。

【準特選】

『瞬時の輝き』山森恵子氏

コントラストが非常に強いので、何か処理が入っているのかなとも思います。

真ん中の木の影が手前にきていて、ひまわりは、夕日に照らされて逆光でキラキラしています。影と日の当たっているところのひまわりのキラキラが、すごくきれいに出ていてインパクトのある作品です。

【準特選】

『早朝の石の上』山中貞子氏

雪の石上神宮ですが、フィルムで撮られているので、無理に作られてなくてすごく自然な感じが出ています。

ここに向こうからお2人、ご夫婦でしょうか、それがこの画面の中にすごくインパクトを与えてくれています。スローシャッターで撮られているので、雪が縦に降っている線も綺麗で、本当に落ちついたカットだと思います。

デジタルカメラのようにバシャバシャではなく、本当に真剣に一枚、ここだという感じで撮られているのが伝わってきます。フレーミングも雪のないところまで入れていることで、余計に雪の感じを出していると思います。

【準特選】

『福住の郷 花の寺』梅本秀明氏

枝垂れ桜を無理に飾らず、見たままに綺麗だと捉えているのが分かります。

さやさやと風が吹いている感じもうまく捉え、揺られている感じがあって自然でいいと思います。

欲を言うと、もうちょっとアップにしてもいいかなと思います。全体、端から端までを撮るよりは、もうちょっと上、特に上を切って、この風を感じるようなところを大きく撮っていただくと、もっと良くなったと思います。

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