十市氏は、龍王山に城を築くため、水を求め、泉を掘りました。
しかし高いところのため、その泉に水が湧くよう、雨の使いである龍王をこの山におまつりして、お願いしました。龍王をおまつりした山なので、龍王山というのです。十市氏は滅び、山だけがそびえていますが、住民はこの龍王山に向かい日照りの時は雨を願い、また豊作の豊かな実りを願い、百姓の命の水をこの山に向かってお祈りしました。
「しでおどり」は、雨乞いがかない、その喜びを表したおどりです。祈願が満願して村人の感謝がこの「しでおどり」に表れ、太鼓を打ちならしておどりまくったのです。石上神宮にも、大和神社にも残っている「白しで」「紅しでおどり」は、水に苦労した農民の切なる願いと感謝が込められています。
また佐保庄には「太鼓おどり」というすばらしいおどりがありました。これも五穀豊穣を願ったおどりですが、伝える人もなく、おどりを知る人もいなくなった現在、このまま滅びてしまうことは、大変淋しいことだと思います。