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今も残る天理の 昔ばなし

泥かけ地藏

八軒屋はちけんやの北側にある槌屋つつやの地蔵さんのことを、こう呼んでいます。

瓦ぶきの立派なほこらの中にある、かなり大きなお地蔵さんで、祠の中には古びたわらじが掛かっています。

昔は布留ふる川北流の川沿かわぞいにあったのですが、流されていたのを地元の人が拾い上げてまつったと伝えられています。

体のどこかに痛みがあれば、地蔵さんの同じところに、こぶしほどの大きさのどろをつけて祈願きがんすると治るということから、「泥かけ地蔵さん」と呼ばれるようになりました。

少しの痛みでは医者にかかることのできなかった当時のことです。人々はすがる思いで祈ったことでしょう。

ある時、一人のおばあさんが「泥をかけてはかわいそうだ。痛いところは、さするようにしたらいい。」と言いながら、泥を全部洗い流してしまいました。

村人たちは大変驚き、石碑せきひを建てたそうですが、そこには「昭和二十七年五月」ときざまれています。

その後は、地蔵さんに泥をかける人もなく、今は汚れのないきれいな姿で静かに見守っておられます。

毎年7月24日には、村の婦人ふじんたちが団子を供えてお祭りをし、村の守り神として大切に祀られているそうです。



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