ホーム ホーム >  昔ばなし > 蚊のいないところ
今も残る天理の 昔ばなし

蚊のいないところ

 むかし、山の辺の道を弘法大師が旅をしていました。今の園原町の登り坂にさしかかった時、大きなカシの木が涼しい木陰をつくっていました。丁度その下には、腰をかけるのに手ごろな大きな石がありました。

 そこを通りかかった旅人は、旅の疲れを休めようと、その石に腰をかけ一服するのですが、周りを蚊がブンブンと飛び回りゆっくり休めません。

 弘法大師は、「せっかくこんなよい所なのに、このように蚊がうるさくては。」と、腰をかけていた大きな石の下へ蚊を封じこめてしまいました。蚊は一匹もいなくなってしまいました。そして、自分が去った後も、蚊の大軍を封じてくださるよう近くの社にお願いしました。

 弘法大師の願いが聞き届けられたのか、蚊はいなくなり、そこを通る人はゆっくり休むことができるようになりました。

 それから今でも蚊の少ないところとして、言い伝えられています。



ページの先頭へ