豊田の東に狐塚という古墳がありました。
むかし、開墾の目的でこの狐塚を掘り崩した人がいたそうです。塚を掘り崩し
ていくと、中から箕に二杯分ほどの立派な宝物が出てきたので、その人はホクホク顔でその宝物を家の中にしまい込んでしまいました。
ところが、その夜のことです。荒々しく家の戸をたたく者がありました。
「おやっ、こんな時刻に誰だろう。」と思って出てみると、表には誰もいませんでした。戸を閉めて家に入ると、また戸をたたかれ、もう一度出てみると誰もいません。いくどもいくどもこのようなことが続いて、とうとうその人は、首が曲がって動かなくなってしまいました。
これは狐塚にいる古狐のしわざに違いないと思って、よく朝さっそく塚から出てきた宝物を狐塚へ元通りに埋め返しました。すると、やがて首はもとにもどり、元気になったそうです。