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今も残る天理の 昔ばなし

雪の積もらない所

 むかし、藤井町に「本丸」という寺がありました。

 ある日突然火災が起こり、村の人達が木桶を持って、あれよあれよと言っている間に、すっかり焼けてしまいました。

 その時、立派な鐘楼(しょうろう)釣鐘(つりがね)もまっ赤に焼けて、「上の丸」の堂の方へコロコロ転がり、皆、あっけに取られて見ているばかりでした。

 ようやく止まった場所は、釣鐘の灼熱のためか、雪が降ってもすぐ消えてしまい、いつになっても積もらないと言い伝えられています。



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