2015

平成27年開催


全体講評

 このフォトコンテストも長く続いていますが、今回は「てんり&山の辺の道フォトコンテスト」として桜井市の一部もエリアに含めたことで、より多くの魅力ある作品が集まりました。また、作品全体を見ますと、撮り方や基本的、技術的な部分、水準が高くなっているように思いました。
 ただ、写真の内容がいいのに、カメラが便利になったことで随分とカメラマンの手でコントロールできる幅が広がり、色の判断が若干間違えられているという残念なところも見受けられました。
 デジタル化のカメラの機能の進化とともに出てきた後退の部分ですね。
 撮りやすくなっている部分と管理の難しさの壁を感じられているんじゃないでしょうか。
 作品募集の趣旨を踏まえ、もう少し噛み砕いて自分なりに考えた構図など狙うものをしっかりと決めてから撮るというようにすれば、より強い作品となり入賞に近づけるのではないかと思います。

 「山の辺」というのがタイトルにあるフォトコンテストですので、山の辺についての基礎知識というか、日本の歴史、伝統と文化の知識を身につけて、山の辺の道へ足を踏み込むということが第一かと思います。
 みなさんの作品を見て、何度も山の辺の道に足を運ばれて、歴史の知識をもとに現場での体験、そこで受けた感動、それらを何度も受けて形にされているんじゃないかというのを感じました。素晴らしいことです。

 撮影にあたっては、形あるものの表面だけではなく、その裏側に隠れているものを表現することが大事です。
 特に特別賞の作品は、春霞のある風景ですが、そういう霞んだ中にあるほのぼのとした、歴史の、古の世界を彷彿とさせる空気をうまく捉えています。
 また、息づいているということ、生命感も大事なことです。風景の中にも、生命はいっぱい宿っています。その生命を見る目を持たないと写真の奥行きは分かりません。生きているということは、過去のものは過去のもので博物館に入れられているというのではなく、現地の土の中に生きている、空気の中によどんでいる、そういうものが大事で、風景の中に生命を吹き込む一瞬、それをしっかりと見据えるというのが写真の眼なんですね。

 今回も、それなりに捉まえている、また表現されている、そういった作品が大半を占めていたので、審査をする方としても嬉しく、とても楽しかったです。

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