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4. 和爾下神社鳥居横の歌碑
場所
櫟本町、国道24号線沿いに建つ和爾下神社鳥居の北側
作者
長忌寸意吉麿
出典
『万葉集』巻十六・三八二四番
詠み
長忌寸意吉麿歌八首
刺名倍尓(さすなべに) 湯和可世子等(ゆわかせこども)
櫟津乃(いちひつの) 檜橋従來許武(ひばしよりこむ)
狐尓安牟左武(きつねにあむさむ)
右一首 傳云 一時衆會宴飲也 於是夜漏三
更 所聞狐聲 尓乃衆諸誘奥麿日 関此饌具
雜器狐聲河橋等物但作哥者 即應聲作此歌也
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長忌寸意吉麿(ながのいみきおきまろ)が歌(うた)八首[ノ中]
さす鍋(なべ)に 湯沸(ゆわ)かせ子(こ)ども
櫟津(いちひつ)の 檜橋(ひばし)より来(こ)む
狐(きつね)に浴(あ)むさむ
右(みぎ)の一首、傳(つたい)えて云はく、「一時(あるとき)に衆會(もろもろあつま)りて宴飲(えんいん)す。ここに夜漏三更(やろうさんかう)にして、狐(きつね)の聲聞(こゑき)こゆ。すなはち衆諸(もろひと)、奥麿( おきまろ)に誘(すす)めて曰(いは)く、『この饌具(せんぐ)、雜器(ざふき)、狐聲(こせい)、河橋等(かけう)の物(もの)に関(か)けてただ哥(うた)を作(つく)れ』といへば、即(すなは)ち聲(こゑ)に應(こた)へて歌を作る」といふ。
意味
長忌寸意吉麿の歌八首[ノ中]
そそぎ口のある鍋でお湯を沸かせよ、ご一同。
櫟津の檜で作った橋を渡り、コムと鳴いてやって来る狐に浴びせてやろう。
右の一首は、言い伝えによると、「ある時、大勢で會って宴会をした。そのとき、時刻も真夜中頃、狐の鳴き声が聞こえてきた。そこで、一同が意吉麿をそそのかして、『ここにある饌具・雜器・狐聲・河橋などの物を関連させて歌を作られよ』と言ったところ、即座にその注文に応じてこの歌を作った」ということである。